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ドイツと日本、往復しながら考えた。さて、どっち向かって歩いて行こうか。


by Rottenmeier-ffm

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大型物流倉庫の火事考察

通販会社の大型物流倉庫が6日間にわたって燃え続け、ようやく鎮火した(しつつある)と言う記事を読みました。
とんでもなく大きな物流倉庫がとんでもない量の商品と一緒に燃えてしまったと言う事実は、これから変わりつつある”日本の物流”の方向性を決定づける一つのきっかけになるのではないかと思います。
多分5年後ぐらいには、「ああ、あの火事がきっかけだったな。」と思いだすような。
大型物流倉庫の火事考察_c0180339_19190145.jpg
この火事で被害をこうむった取引先会社はおそらくものすごくたくさんあると思います。
多くの場合は保険や様々な補償、何より急成長を遂げて日本最大とも言える通販事業を作り上げた会社が手を尽くして事の処理にあたるのであれば、影響は最低限に抑えられるのではないかと思います。
そうであって欲しい。
日本の流通業界の重鎮とも言える会社ですから、こういった事故には負けないで再起して欲しいと思います。

とはいえ、この倉庫火災で思い出したのは、昨年だったか?中国の北の方の大きな港湾拠点で化学物質の保管庫が大爆発し、周囲何キロにもわたり吹っ飛んだという事故です。
あの時確か集落が消えたような記憶もありますが結局何人亡くなったかわからないんじゃないでしょうか。
しばらくの間港も封鎖。隕石が落ちたかのような写真が印象に残っています。

物は末端使用者に届くまでいろんなところを通過して流れて行きます。
間に人やシステムが介入すればするほどもちろん手間賃がかかります。物流コストの削減は企業の最優先事項です。
21世紀に入ってからはインターネットビジネスが流通業のトップに君臨し、それに伴い物の流れ方が変わりました。
製造業者から末端消費者への「ドロップシッピング」--直接配送です。
現在の所多くの通販業者は在庫を抱え、大型物流拠点に商品を集め「翌日配送」を可能にしています。
ドロップシッピングは大型物流拠点に製造業者から物を運び込むこともなく、直接消費者まで届けてしまう配送です。
間に物流倉庫が介入しない分、物流費は原則的には安くなります。
しかしながら、お客さんが複数の製品をまとめて発注した場合、大型物流倉庫にある在庫なら一つの段ボール箱にまとめて複数の製品を1個口として配送できます。
もし製造業者毎にそれぞれの倉庫から発送していたら日数もかかるし、数個口ばらばらとお客さんに届く羽目になります。
これは効率が悪い。
それでなくても現在運送業は人手不足で大変だそうです。これ以上効率が悪い物流を推進するわけにもいきません。
飛脚や黒いネコさんたち、大運送会社の方達はこの辺の無駄を省くべくいろいろ考えてシステムを開発されているに違いありません。
ういったシステムの開発には巨額の投資が必要でしょう。

世界的に見ると日本の物流業界は遅れています。
DHLやUPSと言った世界企業は、この「ドロップシッピング」についても一歩先を行きつつあると思います。

個人輸入の進化を爆発的に促すインターネット。

長年ヨーロッパビジネスの輸出入に携わってきた私が、ひしひしと「考え方を180度転換しないといけない。」と感じています。
ドロップシッピングと個人輸入。
実は政府の関税システムや、正規輸入の際に必須の安全にかかわるテスト等各種のテストをすりぬけます。
日本のみならず世界各国今の所そんな感じです。
とはいえ、この輸入の際の各種テストに関して言えば無駄なことが多かったとも言えます。
先進国の店頭で長年売られている商品なのに、高額なテストを日本に輸入する際改めて受ける必要があるのかどうか。

残念ながら、数年前までは中国製の製品にはテストの結果が日本の安全基準を満たさずコンテナの中身を全部捨てる羽目になった、と言うような話はわりと良く聞く話でした。
物事には裏と表がある。
消費者の安全を守るためには国として安全基準を満たした製品以外日本国内に入れることは避けなくてはならない。
個人輸入に関しては今の所輸入の際のテストなどは免除ですから「購入者の判断」に任せられています。
今の所大きな問題は起こっていませんが、例えば食品の個人輸入で食べた人がその輸入食品が原因で死亡したら一体誰が責任を取るんでしょう。
まあ、死亡するような食品を作った工場にまず責任があるとしても、遠く離れた国で起こった事故にどこまで誠実に対処してくれるでしょう。
ドロップシッピング、個人輸入、に関しては政府の処置が全然追いついていません。あやふやなことが多いのです。
それだけにビジネスチャンスがたくさんあることは否めませんが、今の所「消費者の判断に任せるしかない。」状況について打つ手はあるのか。
エクスプレス便を使えば3-4日でドイツから日本に物が届く時代です。
このスピードに追いつける皆に平等な法の整備など可能かどうか。
2017年は日本の流通業界にとって、歴史的な転換点として記憶される年になるんじゃないかと思うのです。
倉庫の大火災は流通業界のアキレス腱がどこにあるのかが明確になった出来事でした。

製造業回、流通業界、運送業界、業界を越えた連携システム構築が急がれます。
今やアマゾンが世界最大の流通業者で運送業者であることは周知の事実です。

世の中、どこまで変わるんだろう。




by Rottenmeier-ffm | 2017-02-22 19:32 | ビジネス私見 | Comments(2)
Commented by ぽん at 2017-02-23 14:24 x
今、物流倉庫の管理がロボットの機械と言うのに驚いてるぽんなんでしゅ・・・
この火災の事、知らなかったのでニュ~ス読みにググってきました・・・
Commented by Rottenmeier-ffm at 2017-02-24 07:05
ぽんさんお久しぶり。(私がアップしなかったせいです。すみません。)物流の業界はものすごい勢いで変化してます。近未来的光景が倉庫の中で展開しているのも変化の一端ですよね。

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