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ドイツと日本、往復しながら考えた。さて、どっち向かって歩いて行こうか。


by Rottenmeier-ffm

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これからの製造業

これからの製造業1-5まとめ

これからの製造業 1

ヨーロッパと日本間のビジネスに携わるようになって、早20年余、
(え、まじっ? えっと。。計算してみる。・・・合ってるわ。)

まず最初に思ったのが、ヨーロッパの家庭用品業界のメーカーって、思ったより小規模なんだな。という印象を持ちました。

もちろん20年前と今では大きく事情も変わります。

ヨーロッパの製造メーカーは1990年代あたりからどんどん東欧、そしてアジアに工場を移し、自社工場で作ることをあきらめ始めました。

大幅な人員削減もあり、それでも生き残った企業が現在に至る。

ですから、最近は製造工場(Manufacture) といえども、機械や設備を持っているかどうか(持っていてもそれが稼動しているかどうか)は問われません。

どちらかと言うと 「企画・デザイン」 「ロジスティックス」 としての役割が大きい。

たとえば、
製品を企画、デザインし、アジアの工場に発注。
  ↓
生産管理を行う。
  ↓
ロジスティックス全般管理を行う。
  ↓
販売管理を行う。

このあたりがヨーロッパの中小製造業のメインの仕事になっていると思われます。

そしてヨーロッパに結構存在するのが零細製造業。
つまり、
「デザイナーが企画、デザインし、自分で工場を見つけ製造委託をして製品を作る。」
そして倉庫にストックして販売する。

こんな風に何もかも自分たちでやっちゃう小さなデザイン会社がたくさんありました。
今も健在で、どんどん大きくなっている会社もあります。
しかし、いつの間にか消えている会社も多いですね。さすがに。
こういった会社が作る面白いものがあるから、ヨーロッパの製品は評価されてきたのに。

製造業でたぶん一番難しいのは、「コスト」計算。

販売価格が最終いくらになるのか、それを考慮して原価を出さなければなりません。
そして、残念ながら現在の流通経路に乗った販売方法だと、製造原価から出した最終販売価格はとんでもなく高くなることが多いのです。

なぜか。それから、――何に比べて高いのか?

アジアの工場で製造を委託すると、素材にもよりますが、いわゆるリーズナブルな価格を出すためには、初回ロットは数万個から数十万個のオーダーが必要になります。

今時、新製品で数万個確実に売れる製品なんて早々有りません。
そうすると
ヨーロッパ域内にある工場で数千個の初回ロットで作るという現実的な選択を考える。

しかし、アジアの工場の10万個一気に作る場合の一個あたりの価格と 近所の工場で数千個作る場合の一個当たりの価格で差が大きすぎるんです。

下手をすると原価、ここの部分で5-10倍の価格の差が出てきます。

工場出し価格が10倍違うと、販売価格ではもっと差がつく可能性があります。
つまり小売価格が一方は10ユーロ。もう一方は最低でも100ユーロかもしくはもっと、--ぐらいの差になってくるんですよ。(普通の値段のつけ方をすると。)

こうなると製品のカテゴリー自体が変わってきてしまう。
売るお店も、客層も。 

・・・もともとの製品企画は同じであっても、です。

面白いアイデアがあってもそれを製品にするのが30年前より格段にむずかしくなっていると思います。

これは、製造工場の技術が問題なのではなく、消費者の方が問題だと思います。

アジアで大量に作られた安い製品が基準価格になってしまっている現状。

例えばステンレスのお鍋。 680円の物も12000円の物もあります。
どちらかというと680円や980円の方が普通の価格と思っていませんか?

私もそう思います。

しかし、ヨーロッパの工場でオリジナルのお鍋を2000個作ってもらったら、特別な技術が必要では無くてもたぶん小売価格を6000―8000円ぐらいに想定しないと誰も儲からない。
小売価格が980円のステンレスのお鍋を作ろうと思ったら数十万個一気に発注できる資金力と同時に売り先が必要なのです。

おそらく戦前辺りでは、日用生活品は生活費に比べてそれなりの価格だったと思います。
だからちゃんと長い間使った。作る方も長く使ってもらえる物をきちんと手間暇かけて作った。
その価格が、今ならステンレスのお鍋8000円に相当するのではないかと思います。

土台、980円のステンレスのお鍋はかなりあちこち無理しながら作られたものなのです。
ただ、いろいろな人が無理をして努力して作り上げた価格は物の価値から比べて確かに安い。良いものなのです。
だから売れる。
そしてみんな980円を基準に8000円の鍋が高いと思う。

製造現場を見ていると、どれだけオートメーション化されていたとしても、所詮家庭用品の工場なんかは人出が必要です。それなりに手がかかっている。
やっぱり本来はある程度の価格になる物なのです。

しかしながら980円の鍋と8000円の鍋と10倍近い機能の差があるかというと、「無い」、です。
歴然とした違いを見つけることは出来ても基本の機能は変わらない。
10倍近い価格の差の理由をどうやって納得させるのか。

これは買い側も作る側も双方に必要な理由です。
ブランド力や宣伝広告に頼っても、埋め切れない価格の差。

やっぱり日用品、家庭用品っておそらくここ数百年で現在が一番安いのではないかしら。
陶磁器が王侯貴族しか持てなかった数百年前の例を引くまでも無く、

原料や技術がこれほど安くなってしまったのは果たして良かったのか?

人々の意識改革が必要なのかもしれません。

でなければ製造業が発展できない。
物を作り出す喜びが評価されない時代は不幸です。
経済効果重視の文明の行き詰まりの現れなのか。

これからの製造業 2

すみません、昨日の続きになります。
ご興味の無い方、スルーしてください。たぶんすぐにいつものお気楽ブログに戻りますから。
(別に悪いもん食べたわけではないんで。)


昨日、980円と8000円のステンレス鍋の例をとりましたが、どうなんでしょう、980円の鍋をアジアで生産して、市場にデビューさせたのは

もしかしたら日本の製造業?
980円の鍋というのはあくまでも象徴的な例です。
つまり、使用するのには事足りる程度の製品を大量に製造することで、市場に破格に安い価格で提供するビジネス方法。

アジアの安い労働力をフル活用、同時に製品の質をそれなりに向上させ、「たとえ格安でも消費者にお金を支払わせる製品」を作ることに成功し、格安日用品開発したのは、100円ショップの繁栄を堪能した日本なのでは?

ほかの国ではアジアの工場をあれだけ上手に使いこなせなかったのではないか。

第二次大戦後日本は「安くて質が良い」物を輸出して成長してきました。
敗戦国日本はしばらくの間労働力は欧米に比べれば格安でしたもの。

高度経済成長期後の日本は安くて、を除いて「質が良い、機能が優れている」物を作ることに方向転換。
バブルがはじけて、デフレスパイラルに陥った日本は海外に工場を移し「安くて売れる物」を作ることにまた方向転換。しかしこれは国内消費に特化して企画販売されてきた。

ヨーロッパで日本のメーカーがアジア工場で作った格安日用品が売られているのは見たことがありません。
製品の料金より運送コストの方がはるかに高いでしょうし、マージンを極限まで切りつめて出している格安商品をあえて海外で営業するメリットは無かった。

ヨーロッパで格安日用品はそれなりに販売されていますが、日本ほど製品の種類は無い。
ドイツの格安日用品の企画は主に、ディスカウントチェーンショップ主導で企画され、(間にエージェントが数々入るとしても)アジアで製造、一気にディスカウントショップで販売。(つまり定番商品ってあんまり無いです。)

日本の家庭用品製造業は、この格安製品製造販売にずいぶん引きずられてしまったような気がします。特に1980年代から2000年代辺りまでの20年間ぐらい。この間、海外向け商品開発に真面目に取り組む日本の家庭用品製造業ってたぶん少なかったでしょうね。

日本の誇る電気製品が現在最大の危機に瀕しているのは、今まで「日本の技術がなかったら作れなかった物」が今はアジア各国でもっと安く作ることが可能になったからでしょう。

技術大国で作らなくても事が足りるようになってしまった。

日本の電化製品業界の危機のずっと前に日本の家庭用品業界の危機は来ていました。
技術的には家庭用品を作る方が電化製品を作るより簡単なので、アジア各国は家庭用品あたりから工業化を始めましたものね。(もしかしたら↑の20年間と時期が重なっているかも?)

日本の技術で無ければできない物、という物がどんどん無くなってきている。

日本より格段に安い価格でそれなりの製品を作れる国がたくさん出てきた昨今、――まあ、しかしこれはたぶん自分の首を自分で絞めてしまった結果なのかもしれません。 技術が広がっていくのは止められない。

さて、日本の製造業、特に家庭用品製造業はこれからどこを向いて歩いていけばよいのか。

私見です。(ああ、今まで長々書いてきたのも、まぎれもなく私見ですな。)


スマップの歌じゃないですけど、これからはたぶんナンバーワンを目指して
「安くて質が良い誰もが認める完璧な製品」を作るのではなく、

オンリーワンを目指して、「ユニークで愛される製品」を作ることが大切なのではないかと思うのです。

日本の製造業界は真面目過ぎる。

自分が頑張って良い製品をできる限り安く作ることしか考えてこなかった。
自分さえがんばれば、我慢すればもっと質が良くなる、安くなる、と必死の努力をしてきた。

そして、ロジスティックスに関しては「我々が頑張っているのだから、君達もがんばって安く運んで。」
と、場当たり的にしか考えてこなかった。
企画、原料調達から製造、販売、運搬。ひとつの製品が生まれて、お客様に届くまで全体を見て絵を描く人がいなかった。(少なくとも家庭用品業界でサプライチェーンマネジメントを実行できている会社はあまりないかと。)
現在はお客様が使用した後、どうやって製品の死を迎えさせるのか、(つまり廃棄方法)まで考える必要が出てきていますね。(環境問題)

消費者が手にする瞬間までの全てが、サービスや時間も含めて、製品価値に含まれる。これに関してはまた別途書きます。


いろんな意味で「ユニークで愛される」オンリーワン作りに成功しているのは、
アップル、かな。

アップルの製品にはいろいろ欠点があってもそれさえも「可愛気」として消費者に受け入れられているように見受けられます。

さて、欠点さえも愛嬌や可愛気として受け止めてもらえる、「愛される製品」とはどんな製品なのか。

ちょっと考えてみます。

これからの製造業3

なんだかとってもえらそうなことを書いている気がして、こっぱずかしいのですが、とにかく今は書くことで頭の整理をしております。もうしばらくお付き合いください。

さて、ユニークで愛される製品というのは一体どんなものか。

ipad や iphone、アップルの快進撃は続きます。いつまでか、は私ごときが予測することはできませんが。
欠点さえも可愛い奴らだそうです。

Macファンは存在してもWindowsファンは、まあ、存在しにくいですな。私はWindows派なので良く分かりませんが、Macユーザーであることにスノビッシュな思いを抱いている人は多いようです。(たぶんM気質だな。)

他に私が思い着く例を適当にあげます。

リXワのアルミ製スーツケース。
これはリXワの他のスーツケースに比べて重い、そしてアルミ素材のため傷やへこみが付きやすいという致命的な欠点があります。
価格も半端なく高い。しかし、なんか、かっこいい。
そして、このスーツケースは傷だらけでぼこぼこの方がよりかっこいいのです。
もし、日本でアルミ製のスーツケースを作ったら、「より軽く、傷も付かない、へこみもしない」という高品質で優等生な物が出来上がってきそうです。(たぶん売れまい。)
しかし、リXワのスーツケースはぼこぼこになるからいいのです。海外旅行に頻繁に行っている証拠になるからなのか、傷も旅行の思い出につながるからなのか、よくわかりませんが。
傷やへこみが使用者の個性につながり、使用者にとってオンリーワンの持ち物に時間とともに育っていくのです。


このスーツケースほどではないにしても、革や帆布製の鞄や財布は長い時間使い込んで手になじんだ物を修理しながら使い続ける人も多いですね。
包丁やその他の調理器具なんかも砥いだり手入れをしていくうちに、擦り減ったりして形が変わって行ってしまう物、それでもそれが自分の手になじむ。

自分に合うように育てていける製品。というのは愛されている製品だと思います。

それから製品そのものに物語がある物。
バウハウス時代の高名なデザイナーの椅子。スカンジナビア家具にも60年70年代のデザインをそのまま製造し続けている物があります。椅子に「ティディー」「スワン」「エッグ」などの愛称がついていて、何十年もの間作り続けられる。
使用者に愛され、代々受け継がれていく。幸せな製品であることよ。

製品そのものの物語、には、製造過程が独特であるとか、素材が特別であるとか、「独特、特別」など他の製品と差別化するに当たり、形にしては見えないけれど、製品の価値に含まれてしかるべきものがある。
「伝統」もこのうちかな。
消費者に製造側の思いを理解してもらう術が必要になります。
でも、背景にある製造側の深い思いが消費者に理解されれば製品にも愛着がわきます。

ブランドイメージが良い物、は購入者はとても満足して大事に使います。

愛される、という点ではマニアックな物というのは究極なものか。これは本当に好きな人にしかわからない価値観で判断されるので製造側が意図してビジネスに持って行くのはとても難しいかもしれません。(むしろ消費者側が勝手に物語を作る場合が多いですよね。)

しかし、マニアックなにおいをさせるのはこれからの製品開発には必要な要素でしょう。
マニアックであるためには、排他的でなければならない。
多くの人に愛されるために排他的であるというのは矛盾ですが、ナンバーワンになって「広く万人に愛される」のではなく「限られた人に深く愛される」オンリーワンを目指すとなると、一見ネガティブなスパイスが必要になってくるような気がする。

アップル製品やマック製品には多少このマニアックなにおいがあるような気がします。
排他的というか、「この不便なところも可愛いんだよね。」そして「君にはわかんないだろうけど。」という深いところにある選民的な思い。(これだけ売れているのにまだそのにおいをさせることができる販売戦略が凄すぎる。)

これらの消費者の排他的もしくは選民的思考をくすぐる製品は、もちろん格安製品ではありません。

むしろ価格が高い方が良い場合もあります。(程度問題ですが。)

つまり、「男性がたくさん貢いだ女性に執着する。」と言う定義に非常に近い。
「無理して買った、どうしても欲しい物。」を愛さずにおれましょうか。

さて、性悪な貢がせ上手。我儘でも見栄えが良くて連れて歩きたい、自慢したい恋人新製品をどうやったら作ることができるのか

これは結構難しい。


これからの製造業4

彼女の魅力は僕にしかわからない。
君にはわからないだろうねえ。
(ああすみません、別におかしくなったわけではないです。すみませんまだの方は1-3↓をお読みください。)

さて、性悪女小悪魔的な魅力を携えた新製品はどうやったらできるのか?

日本の工業製品は、日本人女性に良く似ています。(おお、これは新説か?!)
海外進出をしている日本の工業製品を、国際結婚をした日本人女性にたとえます。

1.控え目、存在をあまり主張はしない。(少なくともヨーロッパ人女子に比べれば)
2.子育てに熱心、家事全般、優秀(機能的)
3.学歴もあり、文化的に洗練されている。
4.近所づきあい並びに義理の親兄弟にもそれなりに気を使う。(使い勝手が良い。)
5.ぜいたく品をねだったりしないし、お金がかからない。(メンテナンスの必要もない)
6.浮気をすることはほとんどない。(故障しない)

一般的なドイツ人夫婦の専業主婦といえば、
1.主張はし放題だな。
2.子育てに熱心、家事全般、優秀・・・それなりに。でも料理のセンスは普通遺伝子が抜け落ちているから、無い。
3.学歴もあり、文化的に洗練されている。それなりに。
4.うーん、これはもちろん個人差はあるけど、それなりかな。
5.ホリデーに連れて行かなければ、離婚するぐらいの勢いはあると思うぞ。結構お金かかるはず。
6.これ、日本に比べれば結構あり。(故障だってけっこうするもんです。)

さて、小悪魔的主婦といえば
1.主張しまくり。
2.家事は「お手伝いさんにさせて。」もしくは、「夫も家事に参加すべき」と言いながらほとんど夫にさせる。
3.自分磨きには熱心。
4.外面(そとづら)は良し。(却って周りの方が気を使う。)
5.ぜいたく品をねだるのも上手。お金がかかる。これは必数項目。つうかデフォルト?
6.ご主人は決して目を離してはいけません。節操は無いです。スリル満点か。 

愛する家族のためには、完璧な母、妻であろうと努力する日本人国際結婚妻は日本製品に良く似ています。
良くできています。最初手に入れにくいのは確かだけれど、一旦手に入れたらそうそう逃げ出すことも無いので安心できます。
しかし、長い人生、最初の2-3年スィートな時期を過ごした後、日常生活が淡々と続き、お互いが家族として絆を深め、可愛い日本人嫁は「有能なパートナー」へと変身します。

さて、近年国際結婚をされた日本人女性で、離婚されたお話をちょいちょい耳にするうちに、ひとつ悟ったことがあります。
有能で文句をつけがたいパートナーに、ご主人側は満足していなかった。
いつまでも浮気の心配をしなくてはいけない、「女」を捨てていない妻の方が男性を縛り付けておける可能性がどうやら高いみたいです。
自分勝手で、頼りない、そんな欠点だらけのやつが、「可愛い」「愛着がある」のだそうだ。

日本の製品作りは
欠点をなくし、質を極限まで高める。機能的に、より優れたものに。できる限り自助努力によりコストを抑える。
がんばって、努力して、製品を生み出す。
完璧な製品を目指して。

正しい。
文句のつけようがない。

しかし、できた製品に、ハラハラドキドキしたり、「この良さは僕にしかわかるまい。」という顧客のM気質をくすぐるような魅力、は、…無いな。

さて、優等生がどうやったら小悪魔的魅力に対抗することができるのか。

いや、本題に戻って、
どうやったら魅力ある、愛される製品を作ることができるのだろう。

(ああ、横道にそれちゃった。続きます。すんません。)
それから念のため、国際結婚でとっても幸せなカップルもたくさん知っています。ドイツ人ご主人が賢明で日本人妻のよさを理解していらっしゃる場合と、日本人奥様がやっぱり可愛い方、愛され方をご存知の方の場合はもう、盤石で幸せな結婚生活を送っていらっしゃいます。

これからの製造業5

実はこのシリーズ?、結構一気に書いています。
長すぎると読んでいただくのが大変だと思い、分けてアップしているんです。これで終了です。(安心した?)

結論ありきで書き始めたのではないので、(思いつきで書き始めた。)自分でも何が書きたいのか分からなくなってきた。――整理します。

☆まず、私は日本の製造業の将来を不安に感じている。
 技術大国日本でしかできない物の数が減ってきていることに危機感を持っている。
☆私が良く知っている家庭業品業界の現状を分析。
 アジアで大量に製造、販売する「格安製品」に引っ張られて、普通の良品が売れなくなってしまっている。
☆消費者に欲しいと思ってもらえる製品ってどんなの?
 ナンバー1の優等生製品ではなく、オンリーワンの愛される製品ではないか。

こんなところですか?(まだお読みで無い方、すみません1から4まで↓目を通していただけますか?)

限られた人数にでも深く愛される製品。
つまりマスマーケットを最初から狙うのではなく、ニッチなマーケットで確実に売れる製品作り。
――これが日本の製造業の世界戦略です。と、私は思います。!

マニアックなにおいのする、ニッチなマーケットをターゲットとする製品。
知る人ぞ知る。
作る人のこだわり、使う人のこだわりがそれぞれ強烈で、それがうまく合致すれば売れます。

価格で競争する必要の無い、日本でしか作れない物。日本ブランドをうまく生かせる物。
こうなってくるとすでにいくつかの製品が皆さんの頭に浮かぶのではないでしょうか。

愛される製品を愛してくれる人にどう届けるか。
欲しい人に届かなければ「愛される製品」にはなり得ないのです。

違う側面からみると、ターゲットを変えれば「愛される製品」になる、「まだ愛されていない製品」もあるのかもしれませんね。

さて、このようなニッチなマーケットをターゲットにした製品をどこで売ればいいのか?
お客さんに届かなければどんなに良い製品でも絵にかいた餅です。

・・・ネットを介しての販売が味方になってくれるのではないかと思います。
マニアックな消費者は、オキアミ大のサイズの情報をネットの大海から救いあげることができる人々です。

どうしたら情報網に効率よく引っ掛かることができるのか、これは今までの流通販売のセオリーが全く通じない世界です。誰にとっても等しく未知の世界なのではないかと私は思っています。

何千年と続いて来た流通経路が変わろうとしています。

生産者―(仲介業)-販売店―消費者

この流れが ネットの場合

生産者―消費者 になり得ます。

現状は
生産者―ネット仲介者―消費者 ですけど。

何十億人という購買層の中に例えば一万人だけのマニアックなマーケットがある。
商店でその一万人向けに販売できるかというと、効率が悪すぎて無理です。
だって、その一万人は世界中に散らばってどこにいるのかわからないのですもの。

日本の製造業の特徴は、高い技術を持っていること。
その最先端の技術で、マニアックなものを作り、世界中散らばるマニア一人一人に直接販売する。

仲介業者が少なければ少ないほど値段が高いものは売りやすい。末端価格が抑えられるからです。

マニアの要求、質問には技術者でなければ答えられないかもしれない。ネットならそれも可能です。

そして世界地図の端っこ(少なくともヨーロッパで売っている世界地図では)の日本という地理的ディスアドヴァンテージもネットを介した販売ならばかなりリスクを軽減できる。

「格安製品」の販売は現在の流通経路に任せればよいのです。「格安製品」と競争する必要は無いのです。

ハイスペック過ぎて、一般消費者には使いこなせないほどの製品でもそれが欲しくて探している人がきっと世界中には結構な人数がいたりするもんです。
日本の技術でしか作り得ない物を欲しい人に直接届ける方法がある。

新しいネットというソリューションに確信を持てず、経験の無い流通経路であるだけにちょっと皆さん疑心暗鬼になって、二の足を踏んでいるというのが現状ではないでしょうか。

私もネット通販にかなり根強い不信感を抱いていた方ですが、ここ数年はずっと飛行機チケットを始め結構な高額商品もネットで購入しています。
若い世代はもっとネットを通じての商取引に対するハードルは低いでしょう。

日本の製品をヨーロッパ、又は世界に向けて販売する場合、ネットという流通経路をメインに据えることに躊躇できる時間の余裕はあまりないような気がします。

そして、ネット販売戦略にはメリットはあるけれど、リスクが小さいと言う、点も強調しておきたいと思います。

日本の製造業は真面目で努力家です。努力する方向を
「欠点の無い万人向けの優等生な製品」を作る方に向けるのではなく、
「じゃじゃ馬で使いこなすのが難しいほど」の先端技術を開発し、
マニアックな消費者に
「僕以外の人にはこの日本製品を使いこなすのは難しいいだろうねえ。」と優越感に浸ってもらえるように、前向きに日々精進してみてはいかがでしょう。…愛される製品を目指して。

がんばれニッポン。まだまだいけるぞ。

たぶんこれで一連のシリーズ、終了。読んでくださった方、ありがとうございます。おちがこんなもんで、がっかりなさいませんでしたでしょうか。
感想、お待ちしています。
by Rottenmeier-ffm | 2012-05-10 14:35 | ビジネス私見 | Comments(0)

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