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ドイツと日本、往復しながら考えた。さて、どっち向かって歩いて行こうか。


by Rottenmeier-ffm

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久しぶりのドイツ便り

先週火曜日から4日間、木曜日の39℃をピークに35度越えの日々が続きました。
現在ドイツの日の入りは夜9時台。暗くなるのは夜10時過ぎです。最も気温が高くなるのは夕方4時から7時にかけて。
気温が下がり始めるのは夜中を過ぎた時間から、漸く、と言う日々。
このとんでもない高気温の日々は6月末にもありました。この夏2回目の熱波でした。3回目が無い事を切に祈ります。
屋根裏部屋の住人である私にとって、この高気温の日々は死活問題です。屋根や壁がすっかり暑くなり、室内気温が33度。エアコン無し。アンティークな扇風機に頼るしかない前時代的な生活を強いられる事になります。
近所に大きな病院があるせいか、先週は救急車が大忙しでした。熱中症で運び込まれた人達がかなりの人数であったと推察されます。 パリはフランクフルトよりもっと気温が上がったそうですが、ヨーロッパは全般的に建築物は寒さ対策に特化されており、暑さに対しては無策です(伝統的かつ歴史的に)。
ドイツ版「おはよう日本―by NHK」、「モーニングマガジンーby ARD,ZDF」も先週は熱波について連日特集をしていました。ドイツの一般家庭でエアコンを装備しているのは1割どころか数パーセント。日本のエアコンメーカー様、大きなビジネスチャンスだと思います。どうかヨーロッパ市場に目を向けてください。お願いします。
一般オフィスも冷房を装備しているのはおそらく1割以下でしょう。つまり、先週ドイツの会社はあまり機能していませんホリデーシーズン真っただ中である事を考慮しても、あれだけメール数が激減していた理由は「暑くて仕事になりません。」であった事は想像に難くない。
とは言え、ヨーロッパ家屋は寒さ対策の為壁が厚い。穴をあけて室外機を取りつけることは心情的にもハードルが高い。切実に冷房が必要なのは年間10日ぐらい。室外機の必要ない、室温を下げる可動式冷房機器が求められます。当てはまる冷房機器がありましたらご連絡ください。ドイツへの輸出のお手伝いします。いや、私がまず欲しい。買います。

さて、本題に入ります。(前置きが長すぎた自覚はあります。すみません。)5月ぐらいだったでしょうか、近所にTK Maxx と言うディスカウントストアがオープンしました。フランクフルトにも4店、ドイツ主要都市に150店近くあるチェーンストア。アメリカのTJ Maxx (1200店舗)と言うディスカウントチェーンストアがアイルランド-イギリス経由でヨーロッパにも広がったようです。ベルガー通りにある店はアパレルが1階、ハウスウェアーが2階。
元大手家電チェーンストアが入っていた建物です。アパレル商品には有名なメーカーの物も混じっており、60%から90%オフぐらいになっています。驚いたのはハウスウェアーの品揃え。キッチン用品、文具、インテリア雑貨、電化製品以外は結構数が揃っています。一般家庭用品も有名メーカー製品が50%から80%ディスカウントされて販売されています。
私もハウスウェアーに関しては長年携わってきただけに、製造元からの輸出価格を推量する事が可能です。TK Maxxの店頭販売価格がほぼメーカー輸出価格、もしくはそれ以下と言うのは「どうなっている?」と頭を抱えました。
店舗や問屋のだぶついた在庫等を専門に仕入れる業者と提携しているのだと想像します。店頭に定番商品は無く、売り切れたら次に入ってくる保証はありません。
そのメーカーの売れ筋製品があるわけでもありません。しかし、一般小売店の仕入れ価格よりもっと安い価格で購入可能ならば、生活必需品以外の雑貨にも手が伸びようと言うもの。

一般家庭用品業界はここ数年商品が出回り過ぎ、開発し尽くされた感もあり、目新しいヒット商品も無く、閉塞感が半端無いと言うのが正直なところです。デザインや機能性をきちんと見せて販売してくれるセレクトショップが街中から消えて行ってしまいました。
ドイツのDIYセンターチェーンも売り上げをピーク時から30%ぐらい落としていると聞きました。
ドイツのデパートはM&Aの果てにとうとう大手は1社になってしまいました。アパレルも長年栄華を誇ったチェーンストアの売上低下が顕著、閉店もしばしば見かけます。
店舗数を伸ばしているのはTK Maxxや各アウトレットストアのような超ディスカウントストアかフライングタイガーや1ユーロショップのように最初から安い小物販売をコンセプトとしたショップぐらいではないでしょうか。
オンラインショップも昨年大手セレクトインテリアグッズサイトが倒産しました。
ディスカウントしないと物が売れなくなっていると感じます。
販売店がディスプレイや品揃えで努力し工夫をしようと、定価で購入してくれる顧客がいなければ売れません。ディスカウントストアは苦労して定価販売しているショップがなんとかキープする定価を基準にディスカウントします。定価と実際に売れる価格との乖離があからさまになっています。

製造メーカーにとっても流通業界にとっても五里霧中の時代に突入していると思います。ドイツには元々日本のように卸し問屋が流通チャネルで確立したポジションを持っていなかった。メーカーから店舗に直販するケースが主流でした。
その割にはメーカーの営業部門が貧弱です。雇用数500人前後の工場を持つメーカーの国内営業担当が10人以下とか、海外営業担当が3人とか。問屋に営業をアウトソーシングしているわけでもないのに、営業活動に関して意識が低すぎます。
家庭用品部門でドイツのメーカーは世界の中で確固たるポジションを締めていましたが、長い歴史を持つ中小メーカーが海外の持ち株会社に購入され、あっという間に「ドイツらしさ」の無いメーカーになってしまっています。
混沌とした市場に立ち向かうために今何が必要なのか、確たる答えを見つける事ができないドイツメーカー。
「優れた物を作りだせば良い。」という時代が終わってしまったことを残念に思う世代のロッテンマイヤーであります。


by Rottenmeier-ffm | 2019-08-01 22:40 | ドイツ生活 | Comments(0)

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