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ドイツと日本、往復しながら考えた。さて、どっち向かって歩いて行こうか。


by Rottenmeier-ffm

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アンビエンテ考察2015

今年もアンビエンテはそれなりに盛況だったような気がします。
日本企業の出展ももうわざわざ指摘するような存在ではありません。「アンビエンテには日本企業がたくさん出展している。」と言うのは既にデフォルトのような気がするここ数年。
3号館には日本の包丁がヨーロッパのナイフ類に拮抗して幅を利かせていますし、11号館はデザインに特化した製品のホールですがJETROが毎年出展することもあり、すっかり日本館の様相。
皆様もご存じのように10号館は1階から4階まで中国、アジア(日本を除く)館になっています。
中国・インド・アジア圏各国と日本は別物であるとアンビエンテに来ているバイヤー見ていると思います。
そういう意味でアンビエンテにおける日本ブランド定着作戦はなかなか成功しているのではないでしょうか。7-8年前は確か10号館にも日本企業が数社出展していたと思います。アジア圏でひとくくりにされていましたね。

日本企業を訪れるバイヤーにも変化が表れ始めました。ドイツの大手GMSやチェーン店などは日本企業からは高すぎで買うものが無いと思っていたようですが、近年の日本ブーム、そろそろ中国製の物にも飽きて来たということもあるのかもしれません。いずれにせよ価格はさておき、日本の製品を見てみたいと思うバイヤーもちらほら出て来たようです。

ドイツには他国には見られない販売展開を行っているチェーン店があります。Tchibo(チボー)というコーヒー豆を販売するお店です。カフェを併設しているところもありますが、コーヒー豆のとなりの棚にほぼ2-3週間ごとに――例えば「ヨガグッズ特集」「スキー用品特集」「掃除道具特集」「製菓用品特集」と言ったようにシーズンに合わせた製品が並びます。そして、コーヒー豆以外の製品は2-3週間でごろっと総入れ替えされます。
一体残った在庫はどうなるのか。??大きな疑問ですが、とある事情通によると言ったん各店から集められた売れ残り品はロシアあたりに運ばれて再版されるようです。
さて、2-3週間ごとに商品を総入れ替えすることが可能な理由は店舗数にあります。チボーはドイツ国内に約700店、ドイツ語圏、東欧圏に300店、そしてスーパーマーケットには必ず2-3棚分のチボーコーナーがあります。そういったショップインショップは2万店舗を越えるとのこと。どうやって在庫管理をしているのか?いや、だから“売り切りごめん”、で売れ残りやリピート在庫が無いのか、とにかく破天荒なビジネス形態です。
そしてチボー店舗内で売っている商品は全てPB(プライベートブランド)。中身は何処が作っていようとチボーのパッケージでチボーの特別価格で売り出されます。2013年の売り上げは35億ユーロ(4725億円??)だそうです。

さて、チボーのバイヤーがアンビエンテ日本企業出展スタンドに訪れることがあると聞き及びました。通常チボーは中国で生産したり、アジアに拠点を持つ企業に特別にチボー仕様の製品を生産させていたのですが、それらに比べると高額な日本製品を購入するつもりになった?? チボーの製品はドイツ人に「値段の割にはまあまあ品質は良い。」と思われているようで、「ドイツ人各家庭には必ずチボーの製品がひとつ以上ある。」と言われているそうです。(ドイツ人の友人いわく。)
つまりごくごく一般的なドイツ人が日常使う物を販売する店が、「ちょっとグレードアップ」するために日本製品を必要とし始めたと思っていいのかもしれない。
アンビエンテ考察2015_c0180339_18434922.jpg

ドイツ人は保守的です。ドイツ製品を至上と心得ておる人も多い。しかし、ここ数年世界的な規模で日本ブームが起こりつつありドイツもようやく巻き込まれ始めたように感じます。
日本ブームは寿司に始まりました。7-8年前ぐらいからドイツのハイティーン白書的なドラマで(ドイツのセレブファミリーのメロドラマ)引っ越し祝いに寿司を持って友達を尋ねたり、(おそらくそれまでならピザを持って行ったでしょう。)もしくは浮気相手に寿司レストランを予約した、とのたまったりと、寿司がカッコイイ食べ物として認識されているのが伺えるようになりました。(20年前生魚を食べる野蛮人みたいな言われ方をしていた記憶もありますが。)
昨日朝のニュースの後で始まるメロドラマで、若い建築家が「今度仕事で1年間日本へ行くことになった。」と誇らしげに家族に告げる場面がありました。今までだったら間違いなくアメリカの大都市かロンドンがビジネストリップ先として選ばれていたでしょう。(注:朝からメロドラマを視聴していたわけでなく、ニュースの後テレビをつけっぱなしにしていたらドラマが始まっただけです。「ヤーパン」と言うところで引っ掛かってその後数秒ドラマの展開を見ていたのは確かですが。)
朝9時から始まるメロドラマ(長寿番組)を見るのはどんな人かと言うと、主婦とか年金生活者だと思います。つまり、「日本ってどこ?」と言うレベルの人もきっとたくさんいらっしゃる。しかしそういった人向けの番組でさえ日本のイメージが先進国として固まってきたと思って良いのではないか。フジヤマ・ゲイシャ、からのステップアップには成功したのではないでしょうか。

日本のサブカルチャーがヨーロッパの若者に受けたり、日本食がカッコイイ食べ物と認識されたり、日本人の日常が「クール」だと受けとめられ始めました。
アンビエンテには中国を始めアジアのバイヤーもたくさん来ています。日本企業のスタンドには必ず立ち寄っているように見受けました。何が流行っているのか、これから流行るのは何か。10年以上前、ヨーロッパのメーカーの展示を見てトレンドをキャッチしようとしていたのは日本人バイヤーでした。今もヨーロッパはヨーロッパのトレンドがあり、日本のトレンドとは違ってそれなりに新鮮だったりしますが。
アンビエンテで展示される一般消費財は「毎日使う物」「生活に密着している物」であります。日本製の一般消費財がヨーロッパでもっともっと見受けられるようになれば、それは日本の生活様式そのものがヨーロッパに受け入れられたそしてヨーロッパの生活様式に影響を与え始めた、と言うことになるのだと思います。

私はヨーロッパに関わって20数年になりますが、日本がヨーロッパで徐々に受け入れられていく20年でした。 良い時期にヨーロッパに居れて良かったと思います。


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by Rottenmeier-ffm | 2015-02-24 18:44 | メッセリポート | Comments(0)

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